Canon EOS R50 Vをしばらく使ってみました。
R50 Vは、キヤノンがVlogやYouTube、縦動画などを強く意識して開発した動画向けのAPS-Cミラーレスです。開発者インタビューでも、従来のカメラの延長線上ではなく「今の時代に必要なカメラ」をゼロから考えたと語られていて、実際に縦位置用の三脚穴や縦向きUI、Canon Log 3、細かな動画AF設定など、かなり動画寄りの作りになっています。
ただ、今回はあえて動画ではなく、写真をメインに使ってみました。
そして今回、一般的なキットレンズではなく、CANON EF28mm F2.8 STMを組み合わせています。

僕はもともとコンパクトなカメラが好きで、せっかくR50 Vのボディが小さいのに、前に大きく出っ張るレンズを付けるのがあまり好みではありません。
EF28mm F2.8 STMはいわゆるパンケーキレンズで、とにかく薄い。R50 Vの小さなボディと組み合わせると、レンズ交換式カメラとしてはかなり軽快なスタイルになります。
一方で、この組み合わせには大きな弱点もあります。
R50 Vにはボディ内手ブレ補正がなく、EF28mm F2.8 STMにもレンズ内手ブレ補正がありません。つまり今回の写真作例は、手ブレ補正がまったくない状態で撮影しています。
夜の撮影で手ブレが増えたのも、この組み合わせが大きく影響しています。その点を踏まえて今回のレビューを読んでもらえればと思います。
普段はSONYのα7シリーズを使っているので、操作性や手ブレ補正、色の出方などを自然と比べながら撮ることになったのですが、実際に昼夜いろいろ持ち出してみると、思っていた以上に写真機として楽しめました。
動画機のR50 Vをパンケーキレンズで写真メインに使う
R50 VはAPS-Cセンサーを搭載し、ボディ重量は約375g。EVFがなく、ボタンやダイヤルも少ないので、最初に手にした時はやはり「動画機だな」という印象があります。
ただ、そのぶん小さく軽い。
そこに薄型のEF28mm F2.8 STMを組み合わせると、かなり好みのスタイルになりました。

キットレンズの便利さは分かるのですが、個人的には小型ボディにレンズが大きく出っ張っているより、このくらいコンパクトにまとまっている方が持ち出す気になります。
普段のスナップや旅行でも「今日はカメラを持って行こう」と気負わずに済むのは大きなメリットです。
写真機能についても、RAWやC-RAW、フォーカスブラケット、インターバル撮影など一通り揃っているので、実際に使っていて「動画機だから写真はおまけ」と感じることはありませんでした。
昼間に撮った風景では、少し絞れば画面全体がかなりシャープに写ります。階段をF5で撮ったカットも、細かな部分までしっかり解像していて、素直に気持ちの良い絵でした。

風景でも少し絞れば隅々までピントが来ますし、近距離で撮れば背景も滑らかにボケます。
28mm F2.8をAPS-Cで使うので画角はフルサイズ40mm相当とやや狭めになりますが、街中で気になったものを切り取ったり、料理や人物を撮ったりするには個人的には使いやすい画角でした。
最大の魅力はCanonらしい人物の肌色
今回一番印象に残ったのは人物を撮った時の色でした。
作例としては掲載できないのですが、人を撮ると「やっぱりCanonはポートレートが強いな」と感じます。
肌色がとても自然で、ほとんど補正しなくても、そのままで十分きれいに見えます。単に肌を明るくしたり赤みを強くしたりしている感じではなく、赤と黄色のバランスが自然で、誰が見ても好印象になりやすい肌色にまとまっています。
普段使っているSONYのα7シリーズでは、僕の場合、人物を撮るとRAW現像で肌色を少し調整することが多いです。
もちろんSONYは後から追い込みやすく、好みの色を作りやすいのですが、Canonは撮った段階ですでに完成形に近い。
ここはかなり違うと感じました。
家族や友人、子どもなど、人を撮る機会が多いなら、この「ほとんど補正しなくても人がきれいに見える」という部分はR50 Vの最大の強みと言ってもいいと思います。
Canonらしい色の良さは人物以外でも感じました。
ランチでラーメンを撮ってみたのですが、これも色がとても良い。スープや麺、器の色が自然にまとまり、そのままでも十分おいしそうに見えます。

暗い店内でしたが、F4程度でも無理なく撮影できました。APS-Cなのでフルサイズほど高感度に余裕があるわけではありませんが、室内でも意外と困りません。
パッと見を派手にするのではなく、あとから見返した時に「この色、いいな」と思える。
人物の肌色も含め、このあたりは写真を撮るほどCanonの良さを感じた部分です。
夜も撮れる。ただし手ブレ補正なしの影響は大きい
夜の撮影ではISO6400まで上げ、RAWからノイズ除去をかけて試してみました。

当然ながら低感度のようなクリーンさではありませんが、RAW現像とノイズ除去を前提にすれば十分使える印象です。
電車が走っているタイミングや、照明と暗部が混在する明暗差の激しい場所でも撮影しましたが、思っていたよりしっかり写ります。
夜景そのものの画質については、個人的にはそれほど不満はありませんでした。
問題は手ブレです。
今回使ったEF28mm F2.8 STMには手ブレ補正がなく、R50 Vにもボディ内手ブレ補正がないため、撮影者側でしっかりシャッタースピードを確保する必要があります。
F5.6まで絞るとかなりシャープな写真が撮れるのですが、夜ではシャッタースピードが1/40秒を下回る場面が増えてきます。

このあたりから、明らかに手ブレによる失敗が増えました。
1/30秒でも試しています。

しっかり構えて連写すると何枚かはきれいに止まっていますが、同じ構図でもブレている写真が混ざります。「1枚撮ればまず大丈夫」という感じではありません。
使う前は、ボタンやダイヤルが少ないことがR50 Vを写真で使う場合の最大の弱点だと思っていました。
確かに普段α7を使っていると、露出や絞りなどを物理ダイヤルですぐ変えられる操作性との差はあります。
ただ、実際に撮影していて、それ以上に気になったのが手ブレ補正なしによる歩留まりの悪さでした。
普段使っているα7ではボディ内手ブレ補正に助けられている場面が思った以上に多かったのだと、R50 Vを使って改めて気付かされました。
絵画の作例では1/80秒まで上げていますが、このくらいまで確保するとかなり安心して撮れます。

R50 V+EF28mm F2.8 STMで夜の写真を撮るなら、ISOを低く抑えることより、多少ISOを上げてでもシャッタースピードを確保した方が結果的に良い写真を残しやすいと思います。
もちろん、これはR50 Vに手ブレ補正付きのレンズを組み合わせれば事情が変わります。
今回の「手ブレしやすい」という評価は、あくまでボディ内手ブレ補正のないR50 Vに、手ブレ補正のないEF28mm F2.8 STMを組み合わせた場合の話です。
動画では驚くほど手ブレ補正が効く
ここまで手ブレ補正がないことを弱点として書きましたが、面白いことに動画では印象がまったく変わります。
EF28mm F2.8 STM自体には手ブレ補正がないにもかかわらず、R50 Vの動画電子ISを使って撮影すると、手持ちでもかなりカチッと映像が安定します。
普段使っているSONYのα7 Vにはダイナミックアクティブ手ブレ補正がありますが、個人的な印象では、R50 Vの方が映像がピタッと止まるような感覚がありました。
もちろん、補正の効き方や画角のクロップ量、歩き撮り時の見え方などは条件によって変わるので、単純にどちらが優れているとは言い切れません。
それでも、レンズ側に手ブレ補正がない状態でここまで安定するのかというのは、実際に使ってみてかなり驚いた部分です。
写真では手ブレ補正がないことが最大の弱点に感じる一方、動画に切り替えると一気に安定する。
この落差には「さすが動画機として作られているだけあるな」と感じました。
R50 Vは4K30pで6Kオーバーサンプリングに対応し、Canon Log 3、10bit 4:2:2、縦位置UI、細かな動画AF設定なども備えていますが、スペック表だけでは分かりにくい動画機としての良さのひとつが、この手ブレ補正の効き方だと思います。
コンパクトさを活かすEF28mmとサムグリップ
写真では手ブレ補正がないという明確な弱点はありますが、それでもEF28mm F2.8 STMを使いたくなる理由は、やはりサイズです。
R50 V自体が小さいので、パンケーキレンズを付けた時のまとまりがとても良い。
高倍率ズームを付ければ便利なのは分かっていますが、カメラは持って出なければ写真を撮れません。個人的には多少便利さを捨てても、バッグに入れやすく、気軽に持ち出せる方を優先したくなります。
F2.8という明るさもこの組み合わせには合っています。暗い店内ではシャッタースピードを稼げますし、近距離では背景を自然にぼかせます。

もうひとつ、写真を撮るうえで追加してよかったのがサムグリップです。

R50 Vは小型でフラットなデザインなのは気に入っているのですが、写真撮影用のカメラとして見ると、手にしっかり馴染む大きなグリップがありません。特に右手だけで構えた時は、少し頼りなさを感じます。
そこでサムグリップを追加してみました。
親指を引っ掛けられる場所ができるだけなのですが、これが思った以上に効果的でした。右手でボディを挟み込むように持てるので、ホールド感がかなりマシになります。
特に今回のように手ブレ補正のないレンズを使って写真を撮る場合、カメラを安定して構えられることは意外と重要です。
もちろんサムグリップを付けたから1/30秒でも手ブレしなくなる、というものではありません。それでも構えた時の安心感が増し、シャッターを切るまでカメラを安定させやすくなりました。個人的には写真を撮る時の使いやすさがかなり上がったと感じています。
R50 Vのコンパクトさを崩さず、ホールド感だけを少し補えるので、このカメラを写真中心でも使いたい人には相性の良いアクセサリーだと思います。
手ブレ補正付きズームと比べれば写真では撮影者側で気を使う場面は増えますが、EF28mm F2.8 STMとサムグリップを組み合わせた小さなスタイルは、個人的にはかなり気に入っています。
そして動画に切り替えれば、レンズに手ブレ補正がなくても電子ISがかなり強力に効く。
写真と動画の両方を撮ることを考えると、この組み合わせは思っていた以上に面白いです。
写真メインでR50 Vを選ぶのはアリか
写真だけを考えるなら、EVFや操作系、そしてボディ内手ブレ補正の有無なども含めて、他のカメラを選ぶ方が合う人もいると思います。
僕自身、今回一番不満だったのはボタンやダイヤルの少なさではなく、手ブレ補正なしによる歩留まりの悪さでした。
特にEF28mm F2.8 STMのような手ブレ補正のないレンズを組み合わせるなら、夜や暗い室内ではシャッタースピードを常に意識する必要があります。
一方で、それを理解した上で使うと、この組み合わせにはかなり魅力があります。
小さくて持ち出しやすく、昼間はシャープ。F2.8なら室内も撮れ、近距離では背景もきれいにボケる。そして何より、人を撮った時の肌色がとても良い。

RAW現像で細かく追い込めば、どのメーカーでも自分好みの色にはできます。
ただ、旅行や食事、家族との日常で撮る写真を、毎回すべて細かく補正するわけではありません。
撮った段階で人がきれいに見え、料理もおいしそうに写り、風景や絵画も自然なコントラストと色で残せる。
ここは普段SONY α7シリーズを使っているからこそ、改めて感じたCanonの強みでした。
そして、写真では弱点に感じた手ブレ補正が、動画ではむしろ「さすがR50 V」と感じるポイントに変わります。
R50 Vは動画機という先入観だけで候補から外してしまうのは少しもったいないカメラです。
今回のようにパンケーキレンズを付け、サムグリップでホールド感を補いながら写真中心で使ってみると、「動画性能も本格的な、小さくて色の良いスナップカメラ」という別の顔が見えてきます。
写真では手ブレ補正なしという不便さがある。それでも小さく持ち歩けて、Canonらしい色が出て、動画に切り替えれば強力な補正が使える。
動画機だから写真はそこそこだろうと思って使い始めましたが、実際には写真を撮るほど、そして動画も試すほど印象が良くなっていったカメラでした。
※カメラ初心者の方には、上のレンズ付きキット(手ぶれ補正あり)をお勧めします

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